日本加工食品卸協会 個別最適から全体最適へ、物流・情報で協調の動き進む/時岡肯平専務理事インタビュー


日本加工食品卸協会 時岡専務理事

日本加工食品卸協会 時岡専務理事

――食品卸売業をとりまく課題と協会のご対応について

食品卸売業界、そして当協会は長年、競争と協調をモットーに事業を行ってきたが、とりわけ近年、機能・商品で競争をしながらも、特に物流面や情報システム面で協調していこうという機運が高まっている。

最大の課題は物流で、人手不足によるドライバー不足などが深刻化しており、持続可能な物流の構築が急務となっている。この課題は、メーカー・卸・小売の垣根を超え、サプライチェーン全体で取り組まねばならないという意識が共有されるようになっており、具体的なプロジェクトがいくつか進んでいる。

たとえば納品リードタイム延長の課題がある。メーカー/卸間の場合、従来のN+1、すなわち受注日の翌日納品では夜間作業が必要で、庫内作業員もドライバーも集めるのが難しくなっている。これをN+2、受注日の翌々日納品にできれば、物流業務の効率化・省力化を図れる。一方で、欠品リスクや卸の在庫増加にも繋がりかねず、サプライチェーン全体の連携の中で取り組まねば進まない。

すでに製・配・販連携協議会にワーキンググループを設置し、2020年より検討を積み重ねてきていた。2020年11月には、当協会でも賛助会員メーカーと議論し、合同のワーキンググループも組織して、もう少し突っ込んで早期に実地例に落とし込めるよう取り組みを進めようとしている。

また、その実現に向けては、すでに先行して一部メーカー/卸間で実証導入が進んだASN(事前出荷案内)の活用による検品レスの活用拡大についても具体的な実装を進めていく。そして、当協会で開発運営するトラック入荷受付・予約システム「N-Torus」の導入拠点も70拠点を超えた。これもトラックドライバーの待機時間短縮に寄与するもので、普及拡大を進めていきたい。

卸各社でEDIシステム対応共同化の動きも

一方、情報システム面では、メーカー/卸間の受発注においては7割方ファイネットのVANを経由しており、比較的効率化が進んでいるものの、卸/小売間で標準的な「流通BMS」の普及は3〜4割ほどで、多くの小売業が様々なVAN会社を使っており、卸各社でそれぞれ別個に小売各社の受発注システムに対応してきた。

2019年10月の消費税軽減税率導入のようなことがあると、卸各社はそれぞれ別個に同じような準備をしなければならない。

すでに一部報道にも出たが、ここでも協調領域として、卸各社が共有の受け皿を作り、このEDIシステム対応を共同化することで作業を効率化しようという取り組みが動き始めている。卸側がばらばらにやっていた作業をまとめようということで、小売側には一切負担はかからない。既に随分前から商品マスタではジャパン・インフォレックスによる共有化が進められており、受発注システムでも同様のことを行おうという動きだ。

外装サイズ標準化で物流効率化へ第一歩

昨年3月には、国土交通省が「加工食品分野における物流標準化アクションプラン」を策定し、納品伝票、外装表示、パレット・外装サイズ、コード体系・物流用語の4項目について、物流標準化に取り組むという方針を示した。これについては、単に行政が策定しましたで終わりではなく、民間主体で本気で取り組もうという機運が出ている。

その1つとして、外装サイズについては今月15日、メーカー、物流会社、卸、小売、当協会も含めた業界団体などで構成する「加工食品分野における外装サイズ標準化協議会」が「加工食品分野における外装サイズ標準化ガイドライン」を策定し、第1版として公表した。このガイドラインに基づいて加工食品分野における外装サイズの標準化を進めることで、パレット積載効率の向上や共同配送の推進を促し、メーカー、卸、小売店までの流通業務の省力化と車両積載率の向上や倉庫スペースの有効活用などで環境負荷の低減を目指そうとしている。

実は、商品の外装ダンボールについてはJIS規格があるが、規格に合わせた商品を作っているメーカーは少ない。商品デザインに制約が生まれるなどのデメリットはあるものの、極力ガイドラインに合わせた外装サイズを採用することでパレタイズが進み、保管コスト、物流コストの削減に繋がる。これは製・配・販3層ともにメリットがあることとで、1つ大きな一歩を踏み出したと言えるのではないか。

〈冷食日報2021年4月27日付〉

記事提供元:https://www.ssnp.co.jp/news/frozen/2021/04/2021-0427-1333-16.html
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