コロナ禍でも食事で旅行気分! シダックスが全国の郷土料理を病院・施設で提供


「全国郷土料理うまいもの紀行」

「全国郷土料理うまいもの紀行」

コロナの感染拡大防止に伴う自粛ムードは病院・介護施設も例外ではない。通常行われているイベントの自粛や面会自粛を余儀なくされる中、シダックスフードサービス(株)は受託している病院・介護施設で画期的なサービスを開始した。それは、全国を9ブロックに分け、47都道府県の郷土料理を順番に提供する企画「全国郷土料理うまいもの紀行」である。

メニューは全て、各地域のシダックスフードサービスの栄養士会監修のもと地元の味を再現する。完全調理済み食品(冷凍食品)だから安全で衛生的。期間は2020年10月から2021年12月までを予定している。詳細をメディカル事業本部本部長の高橋照夫氏と主任、中野恵氏に話を聞いた。

高橋部長、中野主任

高橋部長、中野主任

中野氏は「コロナの影響の中でも、お客様が施設に居ながらにして、全国の郷土料理で旅行気分を味わっていただく企画である。個別食提供となるので、コロナの感染リスクを高めることなくイベントが開催でき、病院・介護施設の事業者様にも喜ばれている」と、企画の狙いとお客様からの反応を語った。

病院・介護施設において郷土料理の提供はよくあるが、従来は調理に手間がかかり、共通のメニューを作っていても味のバラつきができて再現性が低いことが課題だったという。そのような課題を克服するため、現地調理ではなく、工場等で調理し料理にまで完成させる完全調理済み食品の製造に踏み切った。

各施設では、納品された食品をそのまま、あるいは再加熱するだけで提供できる。オペレーションの負担軽減や省人化での対応にもつながり、食事提供者にとってもメリットがある。事業所での廃棄物の削減、仕込みや調理・洗浄時における水の削減効果も期待できる。高橋氏は「通常、顧客満足度向上と作業工程数の低減は相反するものだが、それを両立させることができた」手応えを語った。

郷土料理の本当の味は現地の方しか分からない

実際、どのようなメニューが郷土料理として提供されているのか。第1弾は“九州・沖縄編”として、福岡県の「がめ煮」や大分県の「とり天」、沖縄県の「ゴーヤチャンプルー」など8品を提供している。場所によるが各都道府県1〜2品の作成を予定しており、合計で70商品ほどになる見込み。料理の選定から食材の選択、加工まで工夫した点を尋ねると、郷土料理ならではの問題が挙がった。

中野氏は「郷土料理といっても、近隣の地域だと似ている料理も多く偏りやすい。例えば、『いも煮』は地域によって味付けも食材も様々。複数の県で郷土料理とされているものも多数ある。1回のフェアで同じ種類のメニューがあるのは避けたいので、全体のバランスを調整しながら、料理を各地域の栄養士の仲間たちに考えてもらった。調味料は地域性が高く、手に入りづらいものや、調理加工が困難なものもあった。また、それを冷凍食品にする上で向いている食材を検討する必要もあった」としている。

それらの中でも、特にこだわったのは味付けだった。中野氏は「コロナ禍でも旅行気分を味わってもらうことがコンセプトだったため、万人受けよりは少しでもご当地の味に近づけることを重要なポイントとした。地域性の高い食材の調達や調理法が完全に叶わない中で、いかにその地域の味に近づけるかにチャレンジし何度も現地の栄養士に意見を聞きながら調整した。郷土料理の本当の味は現地の方しか分からない。味を直してしまうと郷土料理ではないので、自分の感覚を入れず、レシピ提供者の栄養士の意見を尊重した」と語った。

旅先の食事は何も自分の味覚に沿ったおいしさとは限らない。馴染みのない食材や味付けを体験することで、その地域や食の物語を知ることも旅先の食の醍醐味の1つである。ご当地の味にこだわった郷土料理の味とはどのようなものか。味の再現へのこだわりに、「コロナ禍でも病院・介護施設で旅行気分を味わってほしい」というシダックスフードサービスの想いが現れている。

現場の栄養士のアイデアから商品化

詳しく聞くと、企画の発端は2年前だという。シダックスグループには、同社の栄養士が自主的に運営する「シダックス栄養士会」という組織があり、全国の各事業所で活躍する栄養士・管理栄養士が知見を共有して、課題解決に向けて切磋琢磨している。九州エリアの栄養士会で、メンバーと新卒の栄養士が交友を深める「郷土料理を食べる会」が鹿児島で開催された。そこで、若い栄養士たちが郷土料理をもう一度見直し、お客様に対して喜ばれるにはどうすればいいかを考え、研究を重ねた結果、製品化に至ったという。

高橋氏は「若い栄養士たちの想いと頑張りがあったから実現した。それに、偶然にもコロナがリンクした。2年前にこの企画を検討していたから実現できるのであって、コロナが来て急ごしらえしたものではない」としている。

メニューカードも好評

開催1ヶ月後、お客様や事業所の反応はどうか。中野氏は「珍しいものが食べられて面白いというご意見や、普段他県の料理を食べることがないので新鮮という喜びの声をいただいた。従業員からは、再現が難しい郷土料理が手軽に提供でき、温めるだけなので利便性が良かったという声が聞かれている」と好評のようだ。

シダックスフードサービスは食事提供時、メニューカードをお客様1人ひとりに提供する。このメニューカードも好評を後押ししているそうだ。「お客様の中には非常に喜ばれて、メニューカードを大切に保管される方もいる。地域の食事に興味を持つきっかけになり、食育につなげる。ご家族もカードを見て、何を食べているかが分かり安心される」。

「全国郷土料理うまいもの紀行」はまだ始まったばかり。シダックスフードサービスはいつもと違うご当地の味で非日常を演出し、食の喜びを創造していく。

記事提供元:https://www.ssnp.co.jp/news/feeding/2020/12/2020-1223-1730-16.html
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