ポケモン「はらぺこベトベター」がプラスチックごみ問題の解決へ一役 、IBM、コカ・コーラとのタッグで誕生


「はらぺこベトベター」

「はらぺこベトベター」

11月14日と15日の2日間、池袋サンシャインシティ(東京・池袋)内のポケモンセンターメガトウキョーに、飲み終わった飲料容器を回収する一風変わったリサイクルボックスが設置された。その名は「はらぺこベトベター」。「ポケットモンスター」に登場するポケモン「ベトベター」に、AI技術を組み込んだ飲料用空容器回収ボックスだ。

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見た目は遊び心たっぷりだが、投入した容器によって反応が変わるという最新技術が採用され、空き容器を入れるのが楽しくなる仕掛けがされている。この「はらぺこベトベター」は、世の中で関心の高まるプラスチックごみ問題を、クリエイティブな方法で解決することを目指し、ポケモン社、日本アイ・ビー・エム社、日本コカ・コーラ社の有志社員らが「空容器リサイクル促進プロジェクト」を立ち上げ、約1年をかけて共同で構想・制作した。

この仕組みは、「はらぺこベトベター」の口の中に組み込まれたカメラで対象物を撮影し、回収した空容器の種類を認識。その結果は「ベトベター」が鳴き声で“カン”、“ビン”、“ペットボトル”と表現してフィードバックする。また、認識した空容器の統計データの結果を蓄積し、WEBサイトで可視化することができる。これらにより再生できるものとそれ以外のものをユーザーが正しく認識し、楽しく分別・リサイクルしてもらうことを目指している。

「はらぺこベトベター」口内のカメラでカン・ビン・ペットボトルを識別

「はらぺこベトベター」口内のカメラでカン・ビン・ペットボトルを識別

今回の共同プロジェクトは、2019年5月にポケモン社が実施したワークショップにおいて、「IoTを活用して街をキレイにするベトベター」というアイデアコンセプトを、日本アイ・ビー・エムの有志社員が発案したことからスタート。

2019年7月に日本コカ・コーラ社の社員が、他の2社の了承のもと、ザ・コカ・コーラ カンパニー(米国本社)が主催する社内ハッカソンイベントに、同内容のアイデアを応募。そして、2019年10月に日本アイ・ビー・エム社員の有志が、コンセプトを検証する街のゴミ掃除の実験を実施した。2019年11月に3社の有志社員による共同プロジェクトがスタートした。

日本コカ・コーラ社技術サプライチェーン本部の柴本健太郎さんは、「3社で集まって、もともとは業界が全く違うのでそれぞれの会社の業務の紹介などをしている中で、ポケモン社が持っているキャラクターをより世の中に広めていくためにはどのようなアプローチがあるかというワークショップを行った。その中で出てきたアイデアが今回のプロジェクトの発端となっている」とする。

プロジェクトチームは19名で構成されている。役割分担は、ポケモン社から3名が参加し、主にキャラクターや制作物のマネジメントを担当。日本アイ・ビー・エム社からは10名が参加し、主にクラウド、AI、内部デバイスの設計・開発を担当。日本コカ・コーラ社からは6名が参加し、空容器回収にまつわるノウハウの提供、予算計画、運用設計を担当した。

日常業務をしながらの作業になるため、3社で繰り返し行われた会議は、夕方以降の開催されることが多く、実現に向けては、より少ない開発作業量で必要な機能を実装しなければならなかった。そこで、AIの作成には個別のプログラム開発なしに学習モデルが作成できる「Watson」の画像認識機能を活用するなど、最新技術が生かされたという。

日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング(ISE)社のITスペシャリストの白石歩さんは、「“はらぺこベトベター”の中には、小型のコンピューターが入っており、そこにセンサーがつながっていて、何かが入ったことを知らせるセンサーや、箱の中を撮るカメラ、音声を出すためのスピーカーとつなぐ部分がある。流れとしては、入ってきたものを撮影し、IBMのクラウドにデータを送り、“Watson”にそれが何だったかを判定させている。そのフィードバック(結果)を返して、“はらぺこベトベター”が鳴き声を発している」。

「クラウドに送られたデータは、いつ、何が入れられたかが溜まっていく。その集計結果はサーバーに集められる。“食べさせてもらえた”容器の数により、どれだけの再生容器ができたかというデータも見せられるので、実際みんなが容器を入れてくれたことがこのような結果につながったというものをわかりやすく見せられる」とした。

「はらぺこベトベター」は、ペットボトル、ビン、カンが大好きなベトベターという設定で、お腹がいっぱいになると他の街へ移動してしまう。次回の登場はいつなのか。ポケモン社の統括本部経営企画部プレイヤーリレーション部の内藤剛史さんは、「楽しく学べて取り組めるという形のアプローチで問題解決を目指すことを考えて生まれたプロジェクトだ。まだ未定だが、これからもいろいろなところに現れると思う。そうしたところで人々と触れ合い、いろいろなことを教えてくれるという存在になれたらと思う」。

また、「“ベトベター”は、初代の頃からのポケモンで、ヘドロの中から生まれ、汚いものが大好きという、あまり清潔ではないイメージがある。ただ、逆にいえば、そうしたゴミを食べたりして、街をきれいにしているというプラスのイメージもあるのではないか」とする。

環境プラスチックごみ問題が注目される現代社会において、「ベトベター」は、街をきれいにする象徴として、愛されるヒーローになるかもしれない。

人物=左からポケモン社 内藤氏、日本コカ・コーラ社 柴本氏、ISE 白石氏

人物=左からポケモン社 内藤氏、日本コカ・コーラ社 柴本氏、ISE 白石氏

記事提供元:https://www.ssnp.co.jp/news/beverage/2020/11/2020-1125-1320-15.html
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