モスバーガー「ゆっくりレジ」実験開始、分身ロボット「オリヒメ」が接客


モスバーガー「ゆっくりレジ」

モスバーガー「ゆっくりレジ」

モスフードサービスは、分身ロボット「OriHime」(オリヒメ、開発はオリィ研究所)を活用し、遠隔操作で接客する「ゆっくりレジ」を、モスバーガー大崎店(東京都品川区)に実験導入した。8月下旬まで実施する。

外出の困難な人がロボットを操作して接客を行える。通常の接客よりもよりしっかりと接客を行えるため、実際に利用した人からは好意的な声が寄せられているという。

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「いらっしゃいませ、モスバーガーへようこそ」。店に入った際、普通は何も違和感はないだろう。しかし、目の前にいるのは1台のロボットだ。声は女性で、ペンギンのように腕をはためかせながら「ご注文はどうされますか?」と聞いてくる。試しにおすすめの商品を聞いてみると、少し考えて「やっぱり看板商品の『モスバーガー』ですね」と答えた。

同社では分身ロボットのオリヒメを活用した実験を進めている。セルフレジなど時間短縮の仕組みを進める反面、「ホスピタリティの面では物足りなさを感じる人もいるのでは」(モスフード担当者)との考えから、温かみのある接客に取り組んでいる。

実験ではパイロット(操作担当者)に、難病のため外出が困難な2人が参加している。

パイロットの一人、酒井麻椰さんは「初めて接客をするので、言葉遣いなども自分なりに勉強してきた」と話す。また、「普段は家族としか話をしていないため、他の人とお話ができるのはとても楽しい」と声を弾ませる。

利用者からも好意的な声が多く、中にはコールセンターに肯定的な感想を言う人もいたほど。

今はゆっくりレジで注文を受けた後に、会計は別のレジで行っている。そのため、今後は決済機能を付けて有人レジの負担軽減につなげる。

「ゆっくりレジ」について、営業企画部営業サポートグループの福田悠治チーフリーダーと広報担当に、導入の意図や今後について聞いた。

モスバーガー 福田チーフリーダー

モスバーガー 福田チーフリーダー

——導入のきっかけは

広報 外食業界は人手不足が慢性的に続いている。厨房では、パティを半分の時間で焼き上げる什器など、機械化で時短できるところは取り組みを進めてきた。店舗でもセルフレジやセミセルフレジの導入などを進めている。

しかし、こうして効率化を図ることで本当に満足感を提供できるのか、考えていた。特に接客面は対面でのコミュニケーションが重要で、注文のすべてを機械化していいのかという声も社内にはあった。

そんな時に当社の営業担当がオリィ研究所を紹介してくれた。このロボットならば、サービスは温かみのあるサービスを提供でき、社会貢献にもなる。働きたいと考えている外出の難しい方にとっても嬉しいという、とても素晴らしいサービスだと思った。

——外食でこうしたサービスは珍しいのでは

福田 今だと店舗の入り口に無人ロボットを設置して、席の予約を行っているところも少なくない。しかし、人が会する形でのサービスは、おそらく初めてだと思う。オリィ研究所の担当の話では、限られた人向けにイベントを実施したことはあったが、広く一般の方でも体験できる機会は初めてという。

——取り組みで苦労した点は

福田 やることが決まってから実施するまでのスパンは非常に短かった。パイロットの方には当社の理念や接客など非常に短い期間で勉強していただいた。試食もしてもらって、どんな商品なのかも知ってもらった。また、自発的に勉強してくださったという話も聞いた。そのおかげか、レジで実際に応対をしていただくと、おすすめの商品を紹介できるほどで、本当にうれしかった。

この「ゆっくりレジ」は、普段のレジとは違い、ゆっくりとした会話をしてもらうことに価値がある。急いでいる方はフルセルフレジなどを使ってもらい、ゆっくりレジは、あまり時間を気にならずに会話を楽しみたい方は、ぜひ活用していただければと思う。

——利用者の声は

福田 来店された方、数名から聞けたのは、このオリヒメのために店舗に来たという人がほとんどだった。テレビでも紹介されたためか、多くの方に知っていただけた。初日は多くの方が並んでいて、中には車いすの方も参加していただけた。SNS上でも非常に好意的な声でとても良かったと思う。予想以上の反響で、中にはお客様センターにお褒めの言葉をいただくことがあった。

——今後の課題は

福田 元々課題としてあったのは、決済機能の部分。今は会計を行えず、有人のレジで対応をしている。今後は決済機能を付けることで、有人レジの負担軽減につなげたい。あとは、パイロットに来店者が来たことを伝える機能だ。今は多くの方に来ていただけているが、もし誰もレジに並んでいないときがあると、パイロットは誰もいない画面をずっと眺めることになってしまう。それは負担を増やしてしまうため、誰かが来たらそれをわかるようにしてより働きやすくしたい。また、元々のロボットも接客を想定したものではないので、音声面などで課題は見つかっている。オリィ研究所と共同で改良していく。また、ドライブスルーなどにも活用できると考えている。

今回のコロナによって、状況は大きく変わった。当社でもセミセルフレジや完全セルフレジでコロナ対応を進めている。ただ、画面の中だけですべてを完結させることを味気ないと思う方もいる。感染リスクを避けつつも温かみのある接客ができるというのは、最新技術とアナログな価値を併せ持っている。働き手不足の解消だけでなく、社会貢献にもなる。多くの方に評していただけたのは、本当に価値のあることだと思う。

〈食品産業新聞 2020年8月6日付より〉

記事提供元:https://www.ssnp.co.jp/news/foodservice/2020/08/2020-0811-1750-16.html
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