〈トップインタビュー〉青木時男マルコメ代表取締役社長 「料亭の味」さらなる成長へ、液みそ・顆粒みそでグローバル化に拍車


マルコメ・青木社長

マルコメ・青木社長

20年3月期も全てのカテゴリで前年を上回ったマルコメ。新型コロナウイルスの影響で「料亭の味」が伸び、さらなる成長の兆しを見せている。液みそも累計販売数5,000万本を突破した。さらに、かねさを子会社化し顆粒みそを手に入れた同社は、みそ販売のグローバル化にも拍車をかける。

次なる一手は何か。同社の青木時男社長に現状と今後の展望を聞いた。

――20年3月期の業績について

みそは4.1%増、即席みそ汁は7.5%増となった。即席みそ汁がよく動いて、その後、コストダウンを考えた消費者が、生みそでみそ汁を作った方が、コストパフォーマンスが一番高いということに気づいたのでは。即席みそ汁はこれからも伸びていくと思う。

生みそでは「料亭の味」の伸びが顕著だ。即席みそ汁の購買でみそに興味を持った人が「料亭の味」を購入されるケースが増えているのではないか。

液みそは順調に伸びている。生みそと併用されている人が多く、調味料のひとつとして使う人が増えているのではないか。当社では液みそのバリエーションも豊富で、気分によって使い分けてもらえる提案も受け入れられ始めた。

一部の店舗では、みそ売り場の革新性を求めて、液みそをアイラインに配置するところもでてきた。売り場を活性化するためのアイテムとして改めてバイヤーからも注目され始めている。

みそカテゴリは全般的に好調だが、それは即席みそ汁、生みそ、液みそと、消費者のニーズに合わせた形態のアイテムを持っていたことが要因だと考えられる。

液みそに関しては発売から11年で販売累計5,000万本を突破したが、まだ伸びしろはある。発売当初の液体みそは、他のたれつゆと間違えられるということで、売り場の棚には1アイテム並べるのにも苦労した。それが、今では、液みそをみそカテゴリのど真ん中に位置付けてくれるようになった。

液みそを使ったレシピもたくさん生まれ、消費者に浸透している。こうした積み重ねが、これからももっと業績を押し上げていくのではないかと期待している。

――「大豆のお肉」について

前年比2ケタ増で着地した。試しに販売していただいた売り場から、正式に取り扱っていただく店舗が増えている。サスティナブルという時代の要求をしっかりと捉えられている経営者は、植物由来の食品を取り扱うことで、環境問題にも貢献できることが、売り場の拡大を後押ししているのではないか。

消費者にも、健康に良く、地球の温暖化にも貢献できるのならば、食べてみたいというニーズも生まれ始め、植物性由来のお肉に対する理解は相当深まってきていると思う。

――糀甘酒について

糀甘酒も2ケタ増となった。植物由来の乳酸菌など、特にコロナ禍で、自然回帰の流れが世界的に起きている。

糀甘酒の生産拠点である魚沼醸造の稼働率は100%だが、業務用などで大口契約が入った時の状態を想定すると、家庭用に迷惑をかけることはできないので、今後はさらにスケールアップしていかなければならない。

家庭用商品では、明治から、乳酸菌と糀のダブル発酵の「明治糀甘酒のむヨーグルト」が7月7日から発売された。こうしたコラボレーションが入ってくると、さらに糀甘酒の生産スピードや量が求められるので、ニーズ対応した生産体制を整えておかなければならない。

――新型コロナの影響について

4月、5月は巣ごもり需要で業績が上昇したが、業務用は落ちた。家庭用は6月も好調を維持しており、業務用に関しても、緊急事態宣言解除辺りから、需要が戻りつつある。

この先、家庭用商品の売れ行きの勢いが落ち着いても、外食からの需要も高まってくると考えているので、今後はうまく調整していけると思う。

――かねさの子会社化について

かねさは開発型の企業で、これまでも注目してきた企業のひとつだった。青森の老舗で、フリーズドライ技術に長けており、オンリーワンの技術だと思っている。加熱する前の元のみそにだしを入れてフリーズドライにしているので、生みそから作ったようなみそ汁が味わえる。

特に、海外からの注目を集めており、手を汚さず、湯煎で簡単にみそスープが出来上がってしまうので評価が高い。また、調理に使える。粉なので浸透度が高い。隠し味としてみそ味を簡単に調理に取り込んでもらえる。海外ではこうしたプレゼンテーションを展開して、輸出を加速させていきたい。

――今後の販売戦略について

簡便性の高い液みそや顆粒みその販売を積極的に強化していく。まだ、トライアルの多くの消費者を見込める。顆粒みそは2年の賞味期間を武器に、さまざまなレシピに使えるほか、加工度も高いので、業務用からの需要も期待できる。液みそでも、調味料として定着してくれば、ヘビーユーザーも増えてくると思うので、まだ伸びていくと思う。

「大豆のお肉」ではまだ認知が低い。コーナー化など、意欲的に販売していただける店舗が出てきているので、健康意識の高い人を中心に販売を強化していきたい。

糀甘酒では、熱中症対策として訴求し、8月5日の「発酵の日」に向けても露出を高めたい。また、7月下旬に発売の本「砂糖の代わりに糀甘酒を使うという提案」(アスコム刊)では砂糖の代わりに糀甘酒を発酵甘味料として使う提案がされており、当社も一部取材協力に応じた。

多くのレシピが掲載されており、親子丼、トムヤムクン、卵焼き、生チョコなど多岐にわたる使い方を楽しんでいただけるはず。コロナ禍で、健康に関わる情報を早くとりいれたいというニーズは高まっており、家にいる時間もたくさんあるので、この本の出版はとてもタイムリーだと期待している。

関連記事〉「砂糖の代わりに糀甘酒を使うという提案」刊行/アスコム
https://www.ssnp.co.jp/news/soy/2020/07/2020-0713-1427-14.html

SDGsに関しては、当社が掲げている「日本古来の発酵技術を通じて、生活者の健やかな暮らしに貢献する」こと自体が、SDGsそのものだと認識している。会社を進化させていくことで、21世紀に向けて、会社自体の寿命も伸ばせていけると考えている。

〈大豆油糧日報2020年8月5日付〉

記事提供元:https://www.ssnp.co.jp/news/soy/2020/08/2020-0805-1445-16.html
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