剣菱酒造・白樫政孝社長
剣菱酒造製品
同社の商品には精米歩合の表示がない。その心は、「特定名称にこだわるよりも、味の安定が大切」。清酒の原料となる米の出来には、毎年ブレがある。安定した味を出そうとすると、米の出来によって精米歩合を変えなくてはならない。また、4つの蔵で異なる年に造られた数種類の酒をブレンドする製法も、味のブレを最小限にするためのスキルのひとつだ。
ブレンドの極意は、その味の複雑さにある。「食品とのマッチングの幅広さが、清酒の魅力の一つ」と考える同氏。「食品と酒に共通点があれば、両者はマッチする。苦味のある食品は多少の苦味がある酒に合うし、甘い食品には甘みが強い酒が合う。ブレンドで複雑味を増した酒は、どんな料理と合わせても70点以上がとれる」。そんな懐の深さが、「剣菱」が時代を超えて愛されるゆえんかもしれない。
「日本酒のファンをどうやって増やしていくか。答えは一つではない。ただ、一時的な消費者の嗜好に合わせて商品を変えてしまうと、かえって行き詰まってしまうのでは」と考える。「時代が変化しても変わらないもの」をテーマに、ビジネスセミナーなどで講演することもあるという同氏。変化の激しい世の中だからこそ、変わらない味を守り続ける。
〈酒類飲料日報2020年7月14日付〉
記事提供元:https://www.ssnp.co.jp/news/liquor/2020/07/2020-0714-1544-14.html
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