「明治 ザ・チョコレート」5年目の挑戦、至高のチョコへの道のり


「明治 ザ・チョコレート」(コンフォートビター、エレガントビター、ベルベットミルク、サニーミルク)

「明治 ザ・チョコレート」(コンフォートビター、エレガントビター、ベルベットミルク、サニーミルク)

チョコを豆から選ぶ楽しみ方を

コーヒーを豆から選ぶのと同じように、チョコレートもカカオ豆から選ぶ、そんな楽しみ方を発信したい―。

そんな思いで2016年9月にリニューアル発売し大ヒットした「明治 ザ・チョコレート」が、発売5年目を迎える。

特徴は、産地でカカオ栽培の技術的な支援や、独自の発酵法を取り入れたこだわりのカカオ豆を使用していること。発売時は一種の社会現象になるほど話題となり、売れているという情報とパッケージ施策の方が脚光を浴び、豆の産地や発酵法によって味の違いがあること、その魅力まで伝えきれなかった。急成長とともに10種類の味まで拡大したが、現在はわかりやすい香味4品に絞り込んでおり、いよいよ5年目、真の実力が試されるステージに突入する。他の板チョコと比べて価格が約2倍も高いわけ、こだわりのカカオ豆とは何なのか。そもそもの発売に至った経緯、カカオ豆にこだわる理由を追った。

発端は、世界全体のチョコレート消費量が増え、カカオビジネスが海外の大手企業によって寡占化が進む中、世界で流通するカカオのごく一部しか輸入していない日本は、いずれ良質なカカオが調達できなくなる可能性も懸念されたことから。2005年にカカオ基礎研究グループを立ち上げ、メンバーをカカオ豆の産地国へ一定期間滞在させ、良質な豆を長期的に安定調達していく方法を探った。

現地で直面したのは木の高齢化、森林破壊、農家は栽培に必要な苗木や肥料が手に入りにくく、道具も不足という実態。そこで産地に入り込み栽培や発酵、輸送のすべてに関わるしかない、と2006年カカオ豆生産農家を支援する取り組み「メイジ・カカオ・サポート」を始動し、WCF(世界カカオ財団)を通じた農家支援のほかに、作業服や豆の発酵用の箱の提供、苗木の配布、栽培技術や豆の発酵法(明治独自の)指導、収穫量を増やす栽培方法や病害虫の管理方法の勉強会、苗木センターの開設、井戸の寄贈と整備などを行い、作業を農家と一緒に取り組んで関係作りと調達のプロセスを築いた。

井戸の整備などを行い農家との関係を構築

井戸の寄贈と整備などを行い農家との関係を構築

 

カカオ豆産地8カ国で独自の支援活動を実施、持続可能な原料調達の実現へ

最も注力したのは、明治独自の発酵方法の指導。味作りの上で大きなポイントとなるもので、発酵のやり方次第で品質も大きく高まる。ガーナでは農園支援を実施している地域を指定して購入し、一定金額を上乗せして購入することで、その地域の支援を行う仕組みを世界規模のNPOソース・トラストと協同で作り上げ、農家の収入増につなげた。豆へこだわる理由は、最終製品を良質なものにしていくほかに、こうしたところにもある。サポートの範囲はベネズエラからブラジル、エクアドル、ペルーなどへ広げ、この取り組みで収穫したカカオ豆を一旦日本に持ち帰ってチョコレートを試作、また現地に戻って発酵方法を改善することを繰り返し、豆の品質を徹底的に高めた。

カカオ豆を天日干しで乾燥

産地に適した明治独自の発酵法で高品質なカカオを作る

 
そして2014年、厳選したカカオで「明治 ザ・チョコレート」を発売。しかし味に自信はあったが、価格2倍の壁を旧来型のマーケティングでは乗り越えられず、売り上げは期待値に達しなかった。2016年発売の商品は“2代目”であり、ヒットした理由はしゃれた縦型パッケージ。初代の失敗があったことで、カカオ豆のこだわり、中味のコンセプトを前面に押し出すよりも、映えるパッケージで一気に突っ切った。
 
だがパッケージ施策だけでは限界がある。「中身のコンセプトを改めて伝えていく必要がある。豆の違いを楽しむチョコレートという発想が根幹にあること、そしてカカオの価値を伝えなくてはならない。農園にさかのぼり、豆から板チョコまで各工程にこだわっていること、豆の産地や発酵法によって味の違いがあることを伝え、日本のチョコレート文化をもう一段上のステージに進化させていきたい」(松岡伸次明治ホールディングス執行役員サステナビリティ推進部長兼明治執行役員サステナビリティ推進部長)。

明治 松岡執行役員サステナビリティ推進部長

明治 松岡執行役員サステナビリティ推進部長

 

サステナビリティ取り組み一例

カカオの木は一般的に寿命が約60~80年、実をつけ始めるのは植えて5年目、たくさんできるのは11~25年目といわれる。産地での取り組みは現在8カ国にわたり、「メイジ・カカオ・サポート」で生産したカカオ豆(サステナブルカカオ)の調達比率は、現在(2019年度)約30%。「明治 ザ・チョコレート」のほかに全量ではないが、ロングセラー品「明治ミルクチョコレート」にも一部使用している。サステナブルカカオ調達比率を、2026年度までに100%目指す考えで、今9カ国目に広げるためマダガスカルで準備進行中だ。

明治カカオ開発研究部・宮部昌子氏、マダガスカル現地の生産者、2005年から産地を訪問し調達ルートを開拓した明治の宇都宮洋介カカオクリエイター

明治商品開発研究所カカオ開発研究部・宮部昌子氏、マダガスカル現地の生産者、2005年から産地を訪問し調達ルートを開拓した明治カカオ開発研究部長・宇都宮洋之カカオクリエイター

 
「カカオ豆の買取金額が低く農家の収入が安定しないという問題を、当社独自の発酵法で豆の品質を上げ、買取価格を上げて農家の収入安定につなげたい。この循環を続けることで持続可能な産業、事業にしていく。人や社会、地球環境に配慮した調達で、行き過ぎた成長主義のあおりで疲弊した地球再生力を是正し、環境、人権・労働問題など社会課題を、将来世代に先送りするのではなく、今の世代で解決していく」(松岡氏)。

カカオの実を収穫

カカオの実を収穫

 
「明治 ザ・チョコレート」の背景には、こうした熱い思いと取り組みがあり、「あしたのチョコレートのために」明治が取り組むサステナビリティの象徴といえる。

記事提供元:https://www.ssnp.co.jp/news/snack/2020/06/2020-0618-1630-15.html
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