メリックスラボが担う健康増進の提案と食の可能性 ~給食会社・メリックスの「薬膳入門講座」レポート~


メリックスラボで行われた「薬膳入門講座」

メリックスラボで行われた「薬膳入門講座」

メリックス(株)は学校・事業所・メディカルの給食受託業務はもちろん、レストラン運営やスポーツ栄養を駆使したアスリートへの食事サポートなど、多角的に事業を展開している給食会社だ。19年6月には、食と健康、美、そしてアスリートサポートなど、各フィールドのスペシャリストとのコラボで新しい食の可能性を探求しようと、本社にテストキッチン「MERYX Lab.(メリックスラボ)」を、創立60周年を機に開設した。同社を訪問し、ラボ設立の狙いやコンセプトを大髙絵梨社長にインタビューした。また、「給食だからこそ薬膳を取り入れる意味がある」と大髙社長が強調する薬膳の可能性も、セミナーイベントを通じて紹介する。

ラボで顧客のニーズをヒヤリング

ラボ開設は、先代の大髙巽前社長とずっと話していた大髙社長の夢だった。先代の意思を引き継ぎ見事、オープンしたラボでは、顧客を招いたメニュー提案会や受託するプロ野球球団の遠征弁当の試食会、新しい食の可能性を目指した薬膳入門講座や食育イベントなど、様々なイベントが行われている。

「普段食事を召し上がっていただいている契約先人事・総務部の担当者やアスリートを招いて、何が求められているか、ニーズをしっかりキャッチして、今後のサービスに生かしたい」。そう大髙社長が語るのも、受託給食事業が基本的にBtoB のビジネスだから。受託先の食堂施設の食事提供は慌ただしいランチタイムで、喫食者の生の声や嗜好の変化がつかみにくく、飽きを招いてしまう。そのような課題を払拭するため、同社は積極的にイベントを開催し、顧客ニーズのヒヤリングに取り組む。

薬膳はおいしくて健康

例えば、10月24日には「秋の養生~冬に向かっての心構え~」をテーマに、「薬膳入門講座」が開かれた。日頃、同社の食事を食べている受託先企業担当者や社内の栄養士を相手に、まずは漢方に詳しい薬剤師の小野満幹彦氏が、季節や体調に合った食材の組み合わせ方法など、普段の食事に取り入れやすい薬膳の考え方を伝えた。例えば、秋には、うなぎやあんこう、山いもを食べた方が良いのだそうだ。詳しく聞くと、「秋は空気が乾き、体液が不足し体が乾燥しやすい。体調を崩しやすいため、皮膚や肺に潤いを与える必要がある」という。漢方の考え方が背景にあるので説得力がある。分かりやすい説明にメモを取る方もいた。

その後、興味を引く講座はあっという間に終わり、同社顧問である元ハイアットリージェンシー東京の常務取締役総料理長の山岡洋氏が、旬の食材を組み合わせた健康になるための食事を、その調理工夫とともに披露した。

山岡氏は「薬膳はおいしくなくてはならない」ことから、調理方法も薬膳を広めるための重要な要素と考え、丁寧に調理工夫を説明する。

メリックス・大髙絵梨社長と山岡洋氏

メリックス・大髙絵梨社長と山岡洋氏

参加者は前のめりになってキッチンをのぞき込むように調理風景を眺め、調味された塩やスープを味見。試食会では多くの方が笑顔でおいしさを堪能した。「なんだか健康になった感じがする」「家で薬膳料理を作ってみたい」など薬膳に興味を惹かれた人もちらほら。山岡氏は「おいしいからこそ健康になる。それが薬膳料理。一人でも多くの薬膳ファンができることが喜び」とにっこり笑った。

調理実演・試食の前に、薬膳について解説

調理実演・試食の前に、薬膳について解説

同社では2015年より薬膳の給食への導入を始めた。導入の理由を尋ねると、「薬膳は日々継続して食べれば体の健康を維持する効果が期待される。毎日同じお客様が食べる給食だからこそ、薬膳を取り入れる意味がある」と大髙社長は熱く語る。
 
イベントだけでなく、社内報や月次の栄養メモにも薬膳情報を掲載し全社的な啓蒙に注力している。今後は、事業所施設だけでなく、福祉施設やアスリート、成長期の子どもにも薬膳を展開していく考えだ。「例えば、じめじめした季節にはどんな食事が望ましいのか。選手のコンディション調整に薬膳を活用し、ベストパフォーマンスをサポートしたい」。

左から、漢方塩漬け豚ロースのステーキ、しょうが風味の卵プリン、山芋の揚げ餅(朝鮮人参と蜂蜜のソースがけ)

左から、漢方塩漬け豚ロースのステーキ、しょうが風味の卵プリン、山芋の揚げ餅(朝鮮人参と蜂蜜のソースがけ)

楽しい社内イベントで結束力向上

ラボでは、外部に開かれたイベントだけでなく、社内研修やレシピ開発、福利厚生としてのレクリエーションワークショップなども頻繁に開催。例えば、20年のキャリアを持つ同社栄養士の実体験に基づいたセミナーでは、「薬ではなく栄養を摂ることにより、体を根本から治していくことが大事」として、栄養が吸収されるしくみや、腸と脳の関係について1時間講義を行った。講義内容が反映されたメニューの試食会も大好評だった。
 
また、レクリエーションとして開かれたフラダンス教室では、社内調理師が講師となりダンスレッスン。ハワイアンをテーマにした料理も作り、交友を深めた。今後、社内部活動として継続開催される予定とのこと。
 
大髙社長はラボのキーワードに“化学反応”を挙げる。社内の多様な職種の人が集まり楽しい時間を過ごし、各々の才能が部門を越えて交わることで、新たなビジネスシードや結束力が生まれることが狙いだ。
 
平成の時代では食が多様化した。山岡氏は「今の日本は食が便利になり過ぎて何も考えずに口に入れてしまう。それで病気になって慌てて薬を飲んで治そうとする。しかし病気になる前に健康な食事を摂るべきだ」と提案する。日々の給食を通じて、喫食者の健康に貢献する給食企業の活躍は今後も重要になってくるだろう。そのとき、メリックスラボが担う健康増進の提案と食の可能性を広げる取り組みは大きな役割を担うことは間違いない。

記事提供元:https://www.ssnp.co.jp/news/feeding/2019/11/2019-1120-1733-14.html
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