事業成長のカギ「サステナビリティ」が急速に浸透、食品ロス削減も待ったなし


SDGs

持続可能な開発のための17のグローバル目標と169のターゲットからなる国連の開発目標

サステナビリティ(持続可能な成長)は、事業の中心であることが、今年は急速に浸透している。その中でも、食品業界では、プラスチックの資源循環や食品ロスの対策、そして、大豆ミートをはじめとした植物由来食品などの肉代替製品への注目が高まっている。2019年10月1日から「食品ロス削減推進法」が施行された。本来は食べられるのに捨てられている食品を削減する目的の法律だ。

農林水産省によれば、日本の食品ロスは、2016年が643万トンで、内訳は、事業系廃棄物由来が352万トン、家庭系廃棄物由来が291万トンだった。日本の食料自給率(カロリーベース)は37%(2018年度)なので、多くの食料を輸入に依存している中で、大量の食品ロスがあるのは問題といえる。

国連は、持続可能な世界を実現するために、SDGs(持続可能な開発目標、2015年に採択)を掲げており、その中には食品ロス関係の記載もある。それは、2030年までに小売り、消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減することだ。

そのため、商習慣の見直しに取り組み、常温流通の加工食品では納品期限の緩和、賞味期限の年月表示化、賞味期限の延長を推進している。これは、賞味期間の3分の1までに小売りに納品しなければならない商慣習上の期限(3分の1ルール)を2分の1に緩和することを推進すると同時に、賞味期限を年月日でなく、年月表示化を進めるもの。

賞味期限の年月表示では、いち早く大手飲料メーカー各社が2013年から水の2LPETボトルで着手し、その後は他のカテゴリーにも広がっている。賞味期限延長では、サッポロビールがこのほど、2020年3月からビール系飲料の賞味期限を9カ月から12カ月に延長することを発表した。同社によれば、検証を重ねた結果、味覚や品質に問題がないことがわかったという。

ローソンは6~8月に消費期限が近い弁当購入でポイント還元を実験

ローソンは2019年6~8月に消費期限が近い弁当購入でポイント還元の実験をした

 
コンビニエンスストアでは、ファミリーマートが土用の丑の日のウナギ弁当やクリスマスケーキなど季節商材の完全予約販売に踏み切ったほか、他チェーンも予約販売に注力。冷凍食品やレトルト食品など、食品ロスになりにくい売り場を充実させることも食品ロス対策につながっている。

 

大塚食品は大豆を使ったお肉不使用「ゼロミート」の展開を強化

大塚食品は大豆を使ったお肉不使用「ゼロミート」の展開を強化

 

大豆ミート、ベジミートなど代替肉の拡大

一方、現在世界で注目されているのが、大豆ミートやベジミートと呼ばれる植物由来の肉代替製品である。米国で約1,500億円、EUで約2,000億円の市場となっており(19年予測)、日本でも2022年には、16年比76%増の254億円規模になると予想されるという(大塚食品調べ)。海外の肉代替製品のユーザーは、ベジタリアンだけでなく、健康のために肉を食べる量を減らすフレキシタリアンの利用も多い。スーパーでは肉代替コーナーが設置されている。
 
大手のハンバーガーチェーンなどへも導入も急速に進み、今後、日本での注目も高まりそうだ。大塚食品は、大豆を使ったお肉不使用「ゼロミート」シリーズとして、昨年発売したハンバーグに続き、2019年6月にはソーセージタイプも発売している。なぜ、肉代替製品がサステナビリティに貢献するのか。大塚食品は、3つの課題(健康、人口、エコロジー)を解決できることを挙げている。
 
「健康」は、WHOの2015年のリリースで、肉を食べすぎると体に良くないと発表されたこと。「人口」は、2050年に世界の人口は90億人に達し、たんぱく質の需要は現在の約2倍に増大するといわれており、食べ物が足りなくなるおそれがあること。「エコロジー」は、畜肉には大量の穀物や水が必要になるといわれ、1kgの牛肉をつくるのに必要な水の量は、同じ量の穀物を育てる場合の約10倍とされていること。これらの課題解決に向け同社は取り組んでおり、各社の活動も活発化している。
 
サステナビリティの概念が浸透し、生活者の購買選択の基準にもなってきた。原料調達、製品開発、製造、営業、消費まで、バリューチェーン全体で一貫してサステナビリティを意識した活動を行い、価値を高めることが重要になる。
 
事業活動で社会課題を解決するには研究開発やイノベーションが欠かせない。各社のワクワクするような取り組みに期待したい。

記事提供元:https://www.ssnp.co.jp/news/beverage/2019/11/2019-1114-1439-16.html
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