日清医療食品が和洋女子大学で特別講義、「少子高齢化の中でも食事提供を維持できる管理栄養士育成」


日清医療食品、和洋女子大学で特別講義「少子高齢化の中でも食事提供を維持できる管理栄養士育成」を開講

「モバイルプラス」提供でクックチル商品の有効活用と現場の省力化を伝える

病院・介護施設向け給食サービス大手の日清医療食品(株)は「少子高齢化の中でも食事提供を維持できる管理栄養士育成」のために、和洋女子大学家政学部健康栄養学科(千葉県市川市)で特別講義を行った。

去る7月8日と10日に実施したもの。通常、契約先病院・介護施設のみにしか提供していない「モバイルプラス(※1)」を活用して、〈1〉社会課題である少子高齢化とその対策〈2〉省力化となるクックチル(※2)商品の有用性――の2点を伝えることを目的としている。

学外実習を控えている3年生約120人は、クックチル商品の活用と現場の省力化の効果を体験して、これからの生産年齢人口減少に伴う人員不足などの課題に、給食サービス業界はどう対応していくべきかを強く考える機会を得た。産学連携のコラボ講義の詳細をまとめる。

※1モバイルプラスは、日清医療食品(株)のセントラルキッチン(大量調理を一箇所で行う施設)でクックチル方式により大量調理した食事を、受託先事業所のニーズに合わせて、真空パックにして配送するサービス。
※2クックチルとは、加熱調理した食品を急速冷却し、喫食時間に合わせて再加熱し、提供する調理システム。
 
〈学生にクックチルの有用性を学ぶ機会を提供

少子高齢化が進むなか、様々な業界で人手不足が顕在化している。病院・介護施設においても例外ではなく、現場の負荷低減や生産性向上が課題となっている。日清医療食品(株)によると、「多くの病院・介護施設は依然、クックサーブ(※3)で食事を提供しているが、徐々にセントラルキッチン(以下、CK)を活用したクックチル方式での食事提供を導入する病院・施設が増えている」という。

※3クックサーブとは、現地で食材を下処理・加熱等に調理後、すぐに提供する調理法。

しかし、教育の現場では、「従来のクックサーブ方式は学べるが、クックチル方式については座学がメインで、その有用性などは学びにくい環境である」ことから、両者は特別講義を開催することに至った。

講義は、「栄養療法(治療食)実習」(担当教員:多賀昌樹准教授)において、和洋女子大学南館の3階調理実習室で3クラスに分かれ、1クラスあたり常食20食、エネルギーコントロール食(以下、エネコン食)20食の「モバイルプラス」が提供された。

左から、日清医療食品のクックチル商品、モバイルプラスを活用した常食メニュー、モバイルプラスを活用したエネコン食メニュー

左から、日清医療食品のクックチル商品、モバイルプラスを活用した常食メニュー、モバイルプラスを活用したエネコン食メニュー

労働力不足でも給食提供を実現するCK方式

調理を始める前、阿南道也管理栄養士(東京支店管理部受託管理企画課)は、「少子高齢化によるマンパワーの減少は避けて通れない。このままいくと、食事の提供が1日2食の時代がくるという声もある。今までと同じ仕事をしていたら、3回の食事提供が厳しくなるので、少ない人数で高い品質の食事を一括して管理、提供することが求められている」とCK方式に注力する社会背景を説明した。
 
その上で、全国5工場で日産延べ13万食を製造する各CKを紹介。CKの役割については、「献立作成・発注・検収・下処理といった給食管理業務の一元化により、品質の恒久的維持が可能」とし、「各CKで献立を共有し、調理工程を統一することで、安定した品質を確保し、不足の事態での供給力を確保できる。また、集中した品質管理を行うことで、安全で衛生的な食事提供を行う。さらに、献立作成業務の集約により、事業所における事務作業の効率化、調理作業の簡素化、時間の短縮による省力化も実現する」と詳細に語った。
 
そして、「モバイルプラス」を1日10万食製造するヘルスケアフードファクトリー亀岡(HFF亀岡)のPR動画を放映。自動搬送機や自動倉庫などにより50%の省人化を実現した最先端設備を紹介した。
 
〈「モバイルプラス」を実際に使ってCK方式の強みと疾患別の展開を学ぶ

その後、40名の学生は5~6名8班に分かれ、4班が常食を、残り4班がエネコン食を担当し調理を開始した。常食のメニューは「ご飯」「豚肉のポン酢炒め」「アスパラのソテー」「冬瓜の土佐煮」「チンゲン菜の中華和え」「フルーツ缶(洋梨)」。一方、エネコン食では、ご飯の量や、デザートでエネルギーの調整が行われていることを確認しながら実習を行った。
 
実習室をサテライトキッチンに見立て、学生は同社の現場で使用している調理マニュアルをもとに調理に挑む。クックチル商品を手にした学生は“タレ”まで、真空パックされていることにビックリしていた。
 
学生は手袋をつけて衛生管理に注意しながら、湯煎、開梱、食材計量、食器選択、盛り付け、洗浄といった作業を分担。30分もすると、どの班も調理を完了した。クックサーブに比べて短い時間で終了する手際の良さに驚く学生は多く、「正直6人もいらない。とっても簡単だった」「下処理の手間がなくてゴミも少ない」「味も見た目も良くて、いい勉強になった」と率直な思いを語り、試食時には「美味しい!」の言葉が多く聞こえた。
 

次代の給食を教わることは大きな学び

調理終了後、阿南管理栄養士は「皆さんのチームワークにビックリした。調理現場では互いに声を掛け合い、コミュニケーションを図らなくてはいけない。皆さんは食べる方の気持ちを考え動いていた」と称賛した。
 
多賀准教授は「給食のプロからこれからの治療食のシステムを教わることは、学生にとって大きな学びになる。おいしさや簡便性だけでなく、人手不足の社会背景や経済性、効率化により生まれた時間をどう活用し食事に付加価値を付けるかなど、様々な視点で治療食を考えられたら嬉しい」と述べ「患者の検査数値をみて、栄養素や機能性を考慮した食事を提供でき、患者の思いを汲み取れる管理栄養士になって欲しい」と学生の今後に期待をかけた。
 
厳しい人手不足の中でこれまで同様の給食を継続するためには、CK方式のような新しい給食システムが不可欠になっている。今回の講義のように実際の給食サービスで行われている提供方法を伝えて、業界に人材を呼び込む取り組みはさらに求められてくるに違いない。

記事提供元:https://www.ssnp.co.jp/news/feeding/2019/08/2019-0807-1627-14.html
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