日本蒸留酒酒造組合 20年ぶり理事長交代、新理事長に宝酒造・村田謙二社長


日本蒸留酒酒造組合 村田謙二新理事長

日本蒸留酒酒造組合 村田謙二新理事長

日本蒸留酒酒造組合は5月24日、日本工業倶楽部で第 47回通常総会を開催し、平成 30年度の事業報告書や収支計算書などを承認した。

また、大宮久理事長(宝酒造代表取締役会長)が退任し、 村田謙二 氏(宝酒造 代表取締役社長が新理事長に就任した。交代は 20年ぶり。大宮前理事長は焼酎甲類に関するこれまでの動きを振り返る退任のあいさつを 、その後村田新理事長が現在の同組合の取組と今後の方針を説明した。

20年の出来事を振り返る/大宮理事長

大宮理事長=まず思い出すのは WTO の「蒸留酒間税率格差問題」。この問題は EU が「日本の焼酎の税率は、ウイスキーなどに比べて不当に低い」と WTO に提訴したことに始まる。

その結果、ウイスキー、スピリッツ、焼酎の税率の格差はデ・ミニミス (些少) の範囲でないといけない、ということになった。そうすると、最悪は 25%で一升瓶当たり825円の増税ということもあり、あるシンクタンクは日本から焼酎はなくなる、という記事を掲載したこともあった。

しかし何とか克服できて、結果としては 166円の増税ということになった。この増税で も心配したが、その後平成 16年には 43万 klと過去最高の出荷数量を記録したので、ほっとしたことを思い出す。

2番目に思い出すのは「飲用本直し問題」。これは焼酎とみりんの税率 格差に着目して、味醂の税率で焼酎タイプの「飲用本直し」が発売された もので、それにより焼酎甲類は大きな打撃を受けた。これについては、平成 13年5月に「飲用本直し」が税率上、有利にならないように改正されたことで解決された。

3番目は「発泡性酒類の税率一本化問題」がある。これは平成 29年3月に成立した酒税法改正で、 ビール類の酒税を一 本化 する際に、発泡性を有する焼酎やリキュールなどの酒類もビール類と一 本化される可能性があった。そのことを「巻き添え増税」と 呼び、様々な場面で反対を表明した。結果として焼酎等はビール類と一 本化されずに済んだ。

次に、当組合の話としては、将来を見越して平成 19年にそれまで 11あった支部を7支部に統合。その結果本部と支部の連携もよくなり、組織が強化されたと思う。

また、財政基盤の強化策として平成 26年から経費削減5カ年計画を実施し、現在では財政基盤が改善された。強固な組織と改善された財務状況の下で、理事長を交代で きることをうれしく思う。

取り組むべき課題は明確 /村田新理事長

村田新理事長=元号が変わり令和の時代となったが、酒類業界に目を向けると、少子高齢化に伴う飲酒人口の減少により、今後も酒類の総消費量の減少が続くことが想定される。また、蒸留酒業界は原料 の大部分を輸入しているが、世界的な人口増により原料価格が高止まる ことが 想定されることから、将来にわたり厳しい経営環境が続くことを覚悟しなければならない。

このような状況においては、組合員各社が公正な取引を推進し、適正な利潤をあげられる業界にすることがます ます重要である。

酒類業界では平成 29年6月1日に「酒類の公正な取引に関する基準」が施行され約2年が経過した。当組合においても「基準」の組合員への周知、「基準」の遵守に向けた活動に真摯に取り組んだ結果、現在の焼酎甲類の販売価格はおおむね「基準」施行前より改善しており、今後もこの動きが継続することを願っている。

次に、蒸留酒業界の販売状況と需要開発について。蒸留酒組合がまとめた平成 30年度の販売数量は、焼酎甲類が前年度比 98.5%、合成清酒は 92.2%となっており、依然として減少傾向にあるが、今後焼酎甲類 の販売数量が下げ止まることを期待したい。

このような状況の中、焼酎甲類についての明るい話題として、一昨年あたりから始まった「レモンサワーブーム」が全国へ広がっていることがあげられる。

当組合では昨年度も「レモンサワー」についてのアンケートを実施。その結果を見ると、「直近1年間でレモンサワーを飲んだことがある人」の割合が全国では79.8%となり、前年度より 5.7%上昇した。そして、 47都道府県中 41の都道府県でその割合が上昇している。

こ の動きを一層着実なものとするため、本年度も引き続きレモンサワーを中心に、積極的に焼酎甲類の PR を実施し ていく。本年度は新たな企画として参議院選挙とタイミングを合わせる 形で「焼酎甲類総選挙」と銘打ち、焼酎甲類を使ったお酒の中で一番好きな飲み方を決める総選挙を実施している。

レモンサワーブームが全国へ広がっている中、1位が予想されるレモンサワーにそのほかの飲み方がどこまで対抗できるかということに注目してもらうことで、焼酎甲類の持つ“純粋性”“多様性”“健康性”を訴求し、需要拡大につなげていく。

次に食品 表示法関連だが、加工食品の原料原産地表示制度の経過措置期間は令和4年3月、原料原産地以外の表示の変更の経過措置期間は令和2年3月までとなっており、こちらは1年を切っている。

焼酎甲類の原料原産地表示の具体的な表示方法については、現在、当組合の表示部会で検討を重ねている。原料原産地表示以外の表示変更については、組合員がスムーズに表示変更ができるよう、組合としてサポートを続けてまいりたい。

また、懸案となっていた遺伝子組み換え表示については、5月7日に消費者庁が発出した QA で、焼酎甲類含む蒸留酒は義務化の 対象 外となった。消費者庁と折衝していただいた国税庁の尽力に感謝申し上げる。

以上このように、蒸留酒組合として取り組むべき課題は明確であり、焼酎甲類と合成清酒の市場の維持・発展のために、これまで以上に努力をしていく。

〈酒類飲料日報 2019年5月28日付〉

記事提供元:https://www.ssnp.co.jp/news/liquor/2019/05/2019-0528-1154-14.html
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