なぜ食品メーカーは新卒に営業をやらせるのか【01.社会人全体の話】


マーケティング部門を希望していた私が、営業部門に配属されることは最終面接の段階でほぼ決まりました。酒屋さんでアルバイトしていた時の話が、最終面接で盛り上がってしまい、大企業の役員(面接官)が嬉しそうに話せば、学生の私も嬉しく感じないわけがありません。

面接官から「○○さん、営業をやってみないか?」と言われたときに「はい!喜んでやらせていただきたいと思います!」なんていう具合でした。心の中で「あぁ、マーケティング志望なんだけどなぁ。」と思ってはいてもです。ただ、いま振り返ってみると、私は営業マンに実に適した人材でした。

なぜ新卒社員を営業に配属することが多いのか?

営業配属と言われて落胆し「なんで自分が営業に配属されるんだ!?」と思う人の気持ちもすごく分かります。実際に営業へ配属された結果、「自分は営業マンに向いていない。。」と考える方も多いはずです。それでもなぜ、新卒社員を営業に配属することが多いのでしょうか?

この理由を以下の2つに分けて書いてみたいと思います。
【1】社会人全体で考えた場合の新卒社員が営業職に就く理由
【2】食品メーカーで新卒社員が営業職に就く理由

【1】社会人全体で考えた場合の新卒社員が営業職に就く理由

企業の看板を背負って、取引先に接すること。営業職を経験すると、取引先へ実際に出向いて、担当者の方と交渉することもあります。取引先の担当者も、自分も、互いに会社の代表として話をするわけです。取引先が要求をしてきたときに、新卒社員は即答できることは少ないと思います。

新卒営業マンが取引先との商談に行っても、当然ながら取引先からの要求を受けます。ベテランになれば「取引先の要求を把握」「自社の考えを理解したうえで、即答」が可能ですが、新卒社員には会社としての判断はできません。

図に書いてみました。特に新卒は「検討させていただき、ご連絡差し上げます。」と言って、会社に持ち帰り、上司に相談、会社としての回答をもって取引先へ伝え、ようやく契約が成立します。ベテラン社員にすべてを任せたなら企業としても時間が短縮できますし、新卒社員に営業を任せることは企業にとって遠回りをしているように思えてしまいます。

新卒社員に向けた「OJT」

それでも、新卒社員でそれを任されるのは、企業のOJT(on the job training)の1つであるからと言えます。学生時代のアルバイトでも同じだと思います。入ってすぐに、先輩から教わった覚えることをメモしながら、実際にシフトに入ると、想定外の出来事が起こりますよね。

その時々の状況に応じて対応していくことはまさにOJT。入社した企業で、新卒社員研修を終えた時点では新人のままです。

最近、他の業界ですが入社4年目の女性にインタビューする機会がありました。彼女は「入社してから1-2年は何が何だか分からないまま過ぎた気がします。4年目の今、ようやく一人で任せてもらえる存在になった気がします。」と話していました。

新人としての研修期間というのは、各々が感じる時間・期間の差があるとしても、新人研修だけでは、成長できて1人前とは言えないのが現実です。

うちのルールに合わせてくれ!だけでは上手くいかない

私が大企業の経理で働いた時のことです。経理の入金に関する問題が生じたとき、取引先からクレームが来ました。ここで経理の先輩に言われたのが「うちのルールがこれなんだから、合わせてもらわないと困るんだよ!」とのこと。

しかし取引において、互いの会社の決まりや譲れない条件などはあるものの、「うちのルールに合わせてくれ」だけでは上手くいかないと感じました。これは、私が営業経験をしていたからこそ感じたことです。

「譲歩」できる営業人材になるには

つまり、考え方の異なる企業同士が契約を成立させたり、クレームを和解させるためには「譲歩」が必要だと言うことです。これは世界政治の世界でも同様です。

その「譲歩する考え方」は、営業経験を実践することで理解できるものだと感じます。しっかり外に出て、取引先の相手の顔を見て、実際にやり取りをすることで、相手の気持ちを理解する能力が身に付くのです。

営業経験で得られること

営業の仕事の流れの中で、会社と取引先の関係性を知っていくことで、勤める会社の求めること(企業方針など)が理解できるようになり、社会人としての姿勢(常識・マナーなど)を身に着けられます。新卒が営業経験から得られる大切なことです。

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営業の評価を受けて、将来に進む道は?

研究職や専門の知識を生かしたセクションを希望していた人が、仮に営業へ配属されたとします。会社側は、規模の大小を問わず、直属の上司が新卒社員の教育や管理を任され、様々な角度からの人事に関する評価をするものです。そうした結果、その人にこんな可能性を見つけるかもしれません。

・チームをまとめる能力に長けている。(セクションを問わずリーダー職?)
・数字や分析に優れている(経理や経営企画、マーケティング?)
・取引先との交渉の中で、アイデアが豊富で優れている(企画など?)
・営業は結果(達成数字)だが、経過を大切にするタイプだ(総務・品質管理?)
・取引先に信頼される企業の看板となる人材だ(営業はもちろん、万能タイプ?)

つまり、直接的に「セクション」に結びつくのではなく、「個々の才能の特徴」から、その企業で求める人材を適材適所に配置するものだと思います。

入社3年以内に、あきらめてしまわないこと

企業の合う・合わないは、企業選びを失敗しなければ良いのであって、一度入社したなら、ぜひ3年以上働いてみて欲しいです。希望の部署に即配属される可能性が高いとは言い切れません。配属された環境下で、将来、本当に進みたい道への結果を営業職で出すこと。実際に起きる日々の出来事を、自分がどう考え、判断し、乗り越えていくかで、あなたの得意とする分野が必ず、その結果に繋がるものと思います。

→【後編に進む】<2>「食品メーカー」で新卒社員が営業職に就く理由

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