2019年の食品業界について主要キーワードを元に振り返り!食品商社勤務の先輩が解説


2020年に突入し、早くも1/6が経過しましたが、今年の目標設定は済んでいますか?目標設定をする上では、前年の振り返りも大切です。食品業界においても、2020年の市場環境を読むために、2019年にどんなことが起き、どのようなインパクトが市場に起きているか振り返り、分析することは大切です。就活においては、未来を見通す企業を探すきっかけにもなるかもしれません。今回は、食品業界における2019年のキーワードを通して、一緒に振り返っていきましょう。

日米二国間貿易協定

日本の食品市場は海外からの輸入品の恩恵を受けており、貿易が自由化が進むことは、業界の活性化に繋がります。主な恩恵としては、輸入品に掛けられている関税が下がることでコストが下がり、販売価格の引き下げにより、消費者の購買意欲を刺激することができます。例えばポテトフライであれば、商品代(輸送コスト込み)に8.5%の輸入関税が掛かっており、1kgあたりの価格が200円だとすると、17円の関税が乗ってきます。日本でも流通が多い乳製品や肉関連は、ゆっくりと時間をかけて関税を下げ、その間に国産の競争力を高める狙いもあります。

さて、2018年から2019年にかけては、TPP11、日欧EPAといったダイナミックな貿易協定が発効していた中で、アメリカだけが日本との貿易交渉に乗り遅れていましたが、2019年夏頃から急速に交渉が進み、2020年1月から両国間での貿易協定が発効となりました。中身を見てみると、先のTPP11と日欧EPAに追いつくために、関税の撤廃スピードがかなり速く進む条件で協定が結ばれていました。

ざっくりとですが、長いもので10年ほどかけて関税が下がるので、これから毎年、アメリカ産の商品については、仕入れコストが下がることになります。正し、アメリカ経済は順調に成長していることから、そもそもの商品コストが上昇しており、結果、大きな恩恵に繋がらない場合もあります。食品については、価格が安いこともあり、恩恵を感じにくいかもしれません。

こうした、グローバルな変化を先読みすることで、競合他社よりも素早く競争力のある商品を仕入れたり、その商品を素早くマーケットに送り込むことで市場を占有することができます。常にアンテナを張って過ごすことが求められます。

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タピオカ

2019年に食品業界で猛烈に売れた商品と言えば、タピオカですね。もはや説明は不要かと思いますが、タピオカとはキャッサバの根茎から製造されたデンプンになります。モチモチとした食感とミルクティ等の甘いドリンクとの相性が良く、女性を中心に“飲むスイーツ”として、人気が出ました。意外とカロリーが高く、100gあたり、おおよそ350kcalと、ご飯の倍ほどありますね。さて、急速に店舗が増えたため、これはビジネスチャンスと複数の商社が輸入者として市場参入しました。

その結果ですが、タピオカや代替品となるデンプン商品の輸入量は、大阪税関によると、2019年の1月から6月の統計で輸入量は4,417tとなり、前年同時期比の4.3倍となっています。ブームということで、2020年は少し落ち着くのではと考えられていますが、タピオカ専門店以外にも外食産業が店舗での提供を始めたりと複数業種の参入のため、原料の調達がひっ迫しています。

通常、こうした引き合いの強い環境下ではタピオカの原料を生産する農家や加工するサプライヤーは価格を引き上げてくるので、私たち消費者にとっては痛いところですね。このように、食品業界では、生産価格は変化していないのに、主要と供給のバランスで仕入れ原価が上昇することがよくあります。儲かる商品も参入者が増えれば、すぐに陳腐化してしまうため、先駆者利益を取るか、儲かっているうちに次の商品を探す努力が必要となります。

食品ロス削減推進法

2019年5月24日に「食品ロス削減推進法」が成立しました。ザックリと説明すると『食品ロスを減らしましょう。食品ロスが多い事業者は減らす義務がありますよ。』という内容です。農林水産省によると食品ロスは「食べられるけど捨てられている食品」を意味しており、年間にするとなんと643万tもの量が発生しているとされています。先ほど、タピオカの項でタピオカの半年間の輸入量が4,417tと紹介しましたが、それと比較してもかなりの量が廃棄されていることが分かりますね。

一人あたりに換算すると、毎日お茶碗1杯分を無駄にしていることになります。日本の食品業界においては、残念ながら食品ロスに対する仕組みが弱いのが現状です。例えば、アメリカでは「ドギーバック」というサービスがあり、これは外食店舗であればどこでも置いてあり、持ち帰り用の箱をくれるサービスです。

フランスでは、「食品廃棄禁止法」という法律により、大型スーパー(400㎡以上の大型スーパー限定)での売れ残りや賞味期限切れに対しては、廃棄量に応じて罰金を課す仕組みがあります。こうした仕組みが今後整ってくると、食品ロスをビジネススキームを作る企業が増えてくることが期待できます。

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働き方改革

2019年は「働き方改革」という言葉も流行りましたね。人手不足も相まって、食品業界でもこの流れは大きな変化を生んでいます。食品メーカーの工場では、機械や加工度の高い原料の購入(生鮮野菜からカットされた冷凍野菜に変更等)を行い、極力人手を掛けない方法に変更しています。また、食品業界の動脈とも言える、物流業界では、ドライバーの過剰労働を避けるため、これまで金額を抑えるために下道を走らせていたところを、距離に応じて高速道路の利用をルール化する等、働く人の負担を減らす動きが強まっています。

それに伴い、原料の価格は上昇していますが、食品業界での働きやすさは高まっています。厚生労働省の予測ですが、2015年の生産年齢人口が7,728万人に対して、2065年には4,529万人にまで減少するとされています。こうした状況ですので、今後はよりAI等のテクノロジーを食品業界に融合させ、体力を使うような仕事はどんどん自働化されることが求められています。

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サブスクリプション

サブスクリプションとは、モノやサービスの数量に対して対価を支払うのではなく、一定期間の利用に対して、利用料を支払うビジネスモデルを指します。例えば、Apple MusicやNetflix等のコンテンツ等がイメージし易いですね。こうしたサブスクサービスは食品業界でも流行り初めています。3つほど紹介してみましょう。

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